水島弘史の調理・料理研究室

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help リーダーに追加 RSS No.25『余熱加熱は予測がつかない・・・』(エムズキッチンサントゥール水島弘史の料理教室)

<<   作成日時 : 2008/10/31 01:05   >>

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今、多くのメディアで料理人の方達が口にする調理法で

『余熱で中まで火を入れる』

と言う表現をよく耳にするようになりましたが、
これこそが一番肉焼きを難しくしている原因の一つでも
あるのです。

余熱は最初にどの温度のフライパンにのせ、どんなスピード
で加熱が進んだかによりその上がりが異なってくるので、
非常に予測のつかない加熱法なのです。
だから、プロは経験を必要とする、という言い方しかできない
のです。
また余熱で火が入りますという表現ほどヤバイものはありません。
たまたま旨く火が通っていれば問題はないのですが、何せ
表面に先に焼き色がついたり、白っぽくなっていて、中が見えな
い状態のものを、判断しろという事自体が無理なことだと
思います。 よくある、表面は焼けているのに、中が生という
状態ですね。

またここで指で押さえてみて、耳たぶくらいの硬さとか、串を
刺してみて唇の下につけて熱ければ、もその状態を正確に
体感する機会がなければ、どんなに本で読んでも、テレビで
見ていてもわからないと思います。

私も余熱加熱を使う事はもちろんあります。
ただし、これはもう経験則の中で、この程度表面を焼いて、
オーブンで加熱するとどのくらいで焼けるということが、既に
生の食材の状態から上がりの時間予測までができるように
なっているから初めて出来る事なのです。

後、この強火で焼いて、後温度を下げて焼くという手法は
3段階に内部の温度変化の予測をたてなければならない、という事
が説明されていないのです。

まず、フライパンなどから熱が伝わります。そして表面が焼けたら
次に温度帯を下げて加熱をするのですが、この間、最初にどんな
熱のスピードで加熱したかで、余熱のスピード変化も大幅に変わっ
てきます。また温度を下げても、下げてすぐその温度の加熱になる
のではなく、食材内部ではまだ最初に焼いた熱のスピードが落ちて
温度が下がった状態の加熱になるまでにはタイムラグがあることを
理解していなければなりません。

ここで、余熱を具体的に想像するために、以下のような
事をイメージして下さい。
ここに2台の車があります。
一台は時速100kmで走ります。
もう一台は時速20kmで走ります。
ある地点で急ブレーキをかけます。するとどんな違いが出るでしょう?

もちろん100kmで走っているほうが停まるまでに時間と距離が
大きく発生します。
対して20kmの車は停まる時間も距離もさほどかかりません。

熱もこれと同じことが起きているのです。

強火、高温で焼くということは、それだけ低温域に移しても、弱火に
落としても、また火を止めても、中まで熱が伝わる深度と時間は
大きく発生するということなのです。
よって第2段階はこの低温域になるまでの余熱の進みがあるという
事です。

この余熱が落ち着いて初めて低温じっくり加熱の温度域に入るので、
このタイミングを見誤ると、火が通り過ぎになるのは必至です。

よく丁度肉が美味しく焼けたと思って、お皿にのせると、しばらくして
水分が出てきて、硬くなったという経験はありませんか?
これは正しく強火高温加熱による余熱予測の誤りによる失敗なのです。

高温高スピード加熱は早くからブレーキをかけることができる能力が
必要ということなのです。

ならば、慣れていない方が調理するには、やはり安全運転のほうが
失敗のリスクが少なくなりますよ!!
というのが私が提案している手法ということになります。

加熱法としては、先に表面を焼いて、中をゆっくり焼く手法も
最初からゆっくり焼く手法もどちらが間違ってると言う事ではなく、
どちらが正確に状態を精査しやすいか、といことと、どちらの手法が
その場の素材に有効かという判断力を持つということが、本当は
重要な事なのです。

次回は加熱をイメージする加熱曲線のお話です。

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